SEARCH

閉じる

カテゴリー

EVENT REPORT

イベントレポート

宮本信子 伊丹十三4K映画祭『マルタイの女』上映記念登壇イベントに登壇!

伊丹十三4K映画祭『マルタイの女』上映記念登壇イベントがTOHOシネマズ日比谷にて行われ、伊丹映画全10作品に出演する宮本信子が、本作に出演している俳優・西村まさ彦さんと共に登壇しました。

伊丹十三監督全10作品の4Kデジタルリマスター版を上映する特別企画「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K 映画祭」。TOHOシネマズ日比谷・梅田にて2月21日~5月1日の期間、各作品1週間ずつ上映。身近なテーマを独自の感性と日本社会への洞察を散りばめながら、鋭い切り口で描いてきた伊丹映画が、最高画質の4Kでスクリーンに甦る企画です。
映画祭の最後を締めくくる『マルタイの女』(1997)は、カルト教団による殺人事件を目撃した女優と、彼女を守る刑事の裁判までの日々を描いた異色のサスペンス・コメディです。
この日は、上映後に舞台挨拶が行われ、宮本は中盤からサプライズゲストとしてステージに登壇しました。

宮本は大きな拍手で迎えられ、「映画祭は明日が最終です。その前日にこうして皆様にお会いできることが嬉しいです。そして西村さん、お忙しい中ありがとうございます」と挨拶しました。

宮本は、伊丹監督が『マルタイの女』を作ろうと思った二つのきっかけについて紹介しました。一つ目には「事件に遭遇したクリーニング店の女将さんが、作品作りの取材の時に『証言します』と仰ったそうです。証言するということは、ご自分のお店、子ども、命が脅かされることがあるかもしれない。そんな中でも、はっきりと証言しますと仰ったことに感動して、伊丹は心が震えたと言っておりました」と明かしました。
さらに二つ目には、伊丹監督自身に起こった殺傷事件の経験が基になっていて、「自分を守ってくれた刑事さんがいました。本当に朝から晩までどこにいくにも一緒で、自分に何かあった際には身を挺して守ってくれる。刑事さんへの感謝の気持ちから、この作品を作らないと前に進めないという想いがあったと思います」と伊丹監督の気持ちを代弁しました。

女優・ビワコ役の宮本、堅物の刑事・立花(西村さん)、ビワコのファンである刑事・近松(村田雄浩さん)は、常に3人でのシーンが多いということで、当時のエピソードやお互いの印象の話題に。
西村さんが「当時は必死で今日を乗り切ろう、求められているものに答えなきゃという気持ちで…。だからこそロケ地の記憶も曖昧なんです」と恐縮しきりの中で、宮本は「私が晴海通りでクレオパトラの恰好をしていたシーンはご一緒じゃなかった?」と聞き、西村さんは「それすらも、横浜のあたりと記憶してるんです」と話し苦笑い、会場は笑いに包まれました。宮本は「伊丹組は長くやっていると、ある種の雰囲気ができていて、そこにパッと入ったときにどれくらい緊張するか。自分との闘いですよね」と慮っていました。
一方で、西村さんについて、宮本は「寡黙な方だと思っていて、こんなにお話が好きな方だと思わなかったです」と印象を語りつつ、西村さんのお芝居の好きな場面について「槍を持って舞台に上がって、実際に倒れてしまうお芝居が私は大好きなんです!ものすごく素敵だと思っていました」と笑顔を見せていました。

また、近松を演じた村田雄浩さんからは、「宮本さんは主演女優として監督と対峙しなきゃいけないんですけど、立場として監督側・制作側からの視点でも見ていらっしゃる。なのでこちらは本当に甘えて演じられました。今でもずっと感謝しております」とVTRでメッセージが届きました。
それを受けて、宮本は「ビワコは上から目線で、わがままでどうにもならないキャラクターですけど、芝居をしているうちにエキサイトしていって楽しかったです」と振り返りました。

そして、この日は本映画祭で最後の舞台挨拶ということで、改めてこれまでを振り返り、伊丹映画について「1つ、びっくりする。2つ、面白い。3つ、誰でも分かる。これが伊丹映画の精神でした。賞をいただくための映画は作りたくないと。皆さんが観てくださって、面白かった、励まされたと思ってもらえる映画を作りたいんだと。その魂がこの10作品には込められています」とコメントしました。

最後に、「伊丹十三記念館に時々行き、受付に立ってお客様をお出迎えするんですけど、『伊丹さんは今の時代だったらどんな映画を作るんでしょうね』と仰っていただきます。それはとても嬉しいことです」と伝えた上で、「伊丹は亡くなりましたが、10本の作品が残っています。映画祭をご覧になった方から頂戴したお言葉で、『伊丹さんの映画は時代を超えて、絶対に滅びない。不滅である』と。とても嬉しくて感動しました。本当にありがとうございました」と感謝の想いを込めて舞台挨拶を締め括りました。

日本映画専門チャンネルでは、5月17日(土)20:00より「24時間まるごと 伊丹十三の映画 4K」が放送されます。伊丹映画全10作品が一挙放送となります。
是非ご覧ください!

(2025/4/30)

一覧へもどる